(一)各国個別出資方式による支援金の提供
(二)欧州中央銀行(ECB)による融資および財政難諸国の国債買い支え
(三)欧州金融安定化基金(EFSF)と欧州金融安定化機構(EFSM)による各種対応 location 478
いざという時に、結局はIMFのご厄介にならなければいけないのであれば、何のために窮屈な思いをしてユーロ圏に所属しなければならないのか。なぜ、必ずしも自国にとってピッタリサイズ感があるとはいえない諸々の統一ルールに従わなければいけないのか。そのような嫌EU気分が広がってしまってはまずい。 location 486
ドイツは、ことあるごとに、それなりにIMFの取り込みにこだわる。イニシアティヴは取られたくない。だが、欧州の問題は欧州でどうぞご解決を、と完全に突き放されてしまうのもまずい。この辺のお手玉が何ともいえない。IMFもそれを意識しながら双方しっくりくる距離感を模索している。 location 492
第一オプションの各国個別出資方式は、うまく合意すれば、それなりの金額の支援資金を用意することが出来る。だが、問題は合意だ。PIIGSなどという病んだ生き物に、どうして健康体の生き物たちが救いの手を差し伸べなければならないのか。(中略)そのような心理が広がると、この方式は頓挫する。location 499
第二のECBによる対応には、それなりの即応性がある。ECBが融資に乗り出したり、国債の買い支えを行うに当たって、改めて国々から出資を仰ぐ必要はない。通常のオペレーションの一貫として支援を進めることが出来る。location 499
だが、ECBが問題諸国の救済に乗り出すということは、その分、ECBの財務事情が悪化することにつながる。財政難諸国の国債をどんどん買い込むというのは、要するにそういうことだ。購入した国債をすぐに売り飛ばしてしまえればいいが、それをしたのでは、結局のところ、せっかく買い支えた国債の値崩れを促すことになる。 location 499
第三のEFSFとEFSMもまた、実をいうとなかなか目くるめく思いに駆られる構想なのである。
EFSFをフルネームでいえば、ヨーロピアン・ファイナンシャル・スタビリティー・ファシリティーである。 location 499